Rehabilitation

摂食嚥下リハビリテーションについて

加齢や神経の難病、認知症や脳卒中後の後遺症などから飲食が困難になることがあり、その状態を摂食嚥下障害と呼びます。当科は検査や評価を繰り返しながら、客観的視点を持ってリハビリテーションを行い、機能の回復や食事の形態を考慮するなど、状態に合わせたケアを提供します。また、介助者と相談しながら、安全を確保しつつできるだけ味わっていただくこと、食べる喜びを失わないことを目指します。

摂食嚥下
リハビリテーション内容

  1. Step01食事場面の評価(ミールラウンド)・嚥下スクリーニング検査

    入院された方の食事場面を多職種で観察し、問題のある患者様をピックアップします。また評価の結果、問題ありとなった患者様に対して各職種ごとに評価を行います。
    頸部聴診法:聴診器を用いて嚥下や呼吸の音を確認します。
    反復唾液嚥下検査(RSST):30秒に何回唾液を努力嚥下できるかを評価します。
    改訂水飲みテスト:3ccの水を嚥下したときの症状を評価します。
    オーラルディアドコキネシス:10秒間にどれくらい特定の音を発音できるか評価します。
    舌圧測定:風船状の測定器を使って舌の筋力を評価します。
    咳テスト:咳反射が出るかどうかを評価します。

  2. Step02精密検査

    評価の上で精密検査が必要な患者様に対しては、嚥下造影検査もしくは嚥下内視鏡検査を行います。

    • 嚥下造影検査(VF)

      バリウムを混入した食べ物を採ってもらい、エックス線を使って検査を行います。口に入れる段階から観察を開始し、咀嚼や嚥下、胃に流れていく状態を確認することができます。食べ物の形態を変えたり姿勢を変えたりすることでデータ蓄積が可能となり、リハビリや食事指導をしやすくなるメリットがあります。

    • 嚥下内視鏡検査(VE)

      嚥下の状況確認のために、鼻から内視鏡を入れて、痰や唾液、生体の動作具合、食べ物の残り具合などを検査します。患者様にとっては内視鏡を入れる不快感はありますが、動作としてはゼリーやお茶、ご飯など日常食べるものを飲み込むだけです。嚥下造影検査と併用して、気道への誤嚥の瞬間なども観察します。

  3. Step03摂食嚥下サポートチームのカンファレンス

    精密検査の結果をもとに、摂食嚥下サポートチームでカンファレンスを行います。
    その後、話し合った結果を患者様本人とご家族様にご説明させていただきます。

  4. Step04訓練(直接訓練・間接訓練)

    誤嚥性肺炎を防ぐためには、適切な食事指導や姿勢の保持、口腔ケアや嚥下の確認、環境調整、舌の運動など、多角的なアプローチが必要です。当科では、食事を使用する「直接訓練」と食事を使用しない「間接訓練」を、患者さんの病態に合わせて使い分けています。
    「直接訓練」では、水を使って飲み込む力を鍛えます。「間接訓練」では、のどの筋肉を鍛えて間接的に飲み込み力を高める体操や、クッションを使ったポジショニング(姿勢)の指導を行います。

  5. Step05再評価

    必要に応じて嚥下内視鏡or嚥下造影検査を併用して実施します。

退院後も継続してフォローアップします。