Health Care

お口の健康管理について

最近お口でこんな症状はありませんか?

  • 歯磨きやうがいがうまくできない、舌苔が付いている
  • お口がいつも乾いているのが気になる、唾液が出にくい、口臭が気になる
  • パサパサしたモノが食べづらい、お口の中がヒリヒリする、入れ歯の吸着が悪くなった
  • 噛みくだく力が落ちている、強い力で噛めない、固い食べ物が噛み切りにくい
  • 食事の時、食べ物が口からこぼれる、口の中に食べ物が残る、口の中で食べ物の位置を動かしづらい
  • 食べ物がなかなか奥の方に入っていかない、食事中いつまでも同じものを噛んで先に進まない、食事時間が長くなった
  • 上手く噛むことができない
  • 飲み込みにくくなった、食事時間が長くなった、ムセることがある

このような症状が出るということは、お口や喉の機能が低下していることになります。

  • お口の健康管理の目的

    お口の健康管理には、①お口の清掃と②お口の機能を維持・向上するという目的があります。

    お口の清掃

    お口の中には、たくさんの細菌が生息していますが、お口の清掃が不十分であると、細菌が増殖してしまいます。影響は虫歯や歯周病だけではありません。通常、細菌が血液を介して全身に回ることはほとんどないですが、細菌数が増えると、ブラッシングや出血時に全身に回るリスクが高くなります。また、細菌を誤嚥してしまうと、誤嚥性肺炎など感染症が引き起こされやすくなります。入院中で全身状態が低下している時や、要介護高齢者では、特に義歯やお口の清掃が不十分になりやすく、注意が必要です。 

  • お口の機能を維持・向上

    私たちは普段、何気なく食事をしていますが、食事をするのに舌、口唇、頬、喉の筋肉を使っています。加齢や病気で運動機能が低下している場合、食べこぼしや、食べ物を取り込んでも奥に送り込みができない、飲み込めない、食べ物が喉に残る、ムセる等様々な症状が出てしまいます。
    お口の機能を低下させないため、向上するために、それぞれの症状に合わせた対策が必要です。

お口の健康状態と全身疾患は繋がっています

昨今、オーラルフレイル(口の虚弱、筋力低下)が注目されています。2018年には「口腔機能低下症」が保険適用となり、オーラルフレイルや口腔機能の低下が認知症、脳梗塞、心疾患、誤嚥性肺炎などにつながるとされ、死亡リスク、要介護リスクを高めるとの報告もあります。
オーラルフレイルは、自覚症状のないまま悪化するため、日頃からの歯科治療、口腔ケアにより予防していく必要があります。

  • オーラルフレイルとは

    オーラルフレイルは、噛む、飲み込む、話すなどの口腔機能の衰えを意味しており、老化のサインとして注意する必要があります。早期に気づくことができれば対応しやすいですが、放置するほど回復が難しくなり、口腔機能の低下が進んで、身体機能や食事への意欲が低下する傾向があります。

  • オーラルフレイルが引き起こす病気

    口腔機能低下症

    加齢や何らかの疾患などの原因で、唾液、咀嚼、感覚、構音、嚥下などの口腔機能が衰える状態です。口腔機能低下症は放置する期間が長いほど回復しにくくなり、次第に口から食事をすることや、会話することなどが困難になります。年齢が高い方は要介護の状態に陥りやすいので、特に注意が必要です。

  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

    誤嚥によって食べ物のカスなどとともに歯周病菌が気管を通って肺に侵入した場合、歯周病菌の毒素で肺炎を起こすことがあります。加齢などの原因で口腔機能低下症になると、食べ物を飲み込みにくくなるので誤嚥性肺炎のリスクが上がります。

行っているケア内容

器質的口腔ケア(汚れをとる)だけではなく、機能的口腔ケアも実施し、嚥下機能にアプローチすることで誤嚥性肺炎の予防も行っています。

    • 当科での口腔ケア

      • 口が乾く、ニオイが気になる
        →保湿ケア、ブラッシング
      • 歯石の沈着、入れ歯の汚れ
        →器械的口腔清掃、義歯清掃
      • 舌の表面の汚れ、痰の付着
        →舌、粘膜の清掃
    • 当科での摂食嚥下
      リハビリテーション

      • むせる、食べこぼす
        →咳払い訓練、口腔周囲筋の運動訓練など
      • 滑舌が悪い、舌が回らない
        →発音、構音訓練など
      • あごの力が弱い、やわらかいものばかり食べる
        →咀嚼機能訓練など
      摂食嚥下
      リハビリテーション
  • 口腔機能低下症へのアプローチも実施

    咀嚼・咬合の機能や口腔内の衛生状態、オーラルディアドコキネシス(発音する機能の測定方法)や嚥下機能、口腔内の乾燥状態や舌圧の低下度などを確認することで口腔機能低下症の診断ができます。該当する項目があれば、リハビリを行って機能の回復やそれ以上の低下を防ぐようにします。

患者様の状態に合わせて、各職種へバトンタッチしていきます。